単一恐怖症

誰でも一つくらいは苦手なものがあるものです。虫や蛇などが大嫌いという人もいれば、血を見るのが苦手だったり、どうしても犬が怖いとか、人によって怖いものの対象はさまざまですが、そうした特定の物を怖がることを単一恐怖症といいます。暗闇恐怖症や高所恐怖症などもその一例で、そういった特殊な状況に恐怖感を抱くのも単一恐怖症のひとつです。虫や暗闇などは、誰もが多少恐怖覚えるものですが、そうした多くの人が感じる程度の恐怖ではなく、血の気が引いたり冷や汗が出るほどの極端な恐怖を与えるものが単一恐怖症と言われます。

こうした単一恐怖症の多くは、過去に体験したことがトラウマになって引き起こされており、その体験の種類もその人に与える影響の度合いもさまざまで、同じ体験をしたから同じようにトラウマになるというわけではありません。恐怖症になるほどのトラウマというのは、その体験が起こる状態や、もともとの性格、体調など、いろいろな要素が組み合わさって記憶に刻み込まれます。そのため、だれでも一つくらいは恐怖症をいえるほど怖いものがあっても不思議ではないですが、一人につき一つと決まっているものでもなく、人によってはいくつもの単一恐怖症を抱えていたりもします。

単一恐怖症の治療は、恐怖を感じる対象やその程度によって方法が異なります。日常生活に支障がない程度であれば放置しておいても問題ないですし、支障があるようならば心療内科などで相談するのがおすすめです。恐怖症などの神経症は目に見える症状ではないだけに治療もデリケートで、素人が焦って進めると逆にトラウマになって症状を悪化させることもあります。まずは、こうした単一恐怖症を持つのは自分だけではないということを理解して緊張を取り除き、そういった対象を怖がる自分を受け入れるところから始めましょう。多くの単一恐怖症は適切な治療や訓練で改善しますし、実際に克服したひとも数多くいます。無理に治そうとせずに、上手く付き合っていくくらいの気持ちでいたほうがよいかもしれません。

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