嘔吐恐怖症

嘔吐恐怖症というのは、嘔吐することに極度の恐怖心を感じる恐怖症です。一般の人にとっては、「嘔吐なんて滅多にするもんじゃないから、嘔吐の恐怖を感じる機会なんてあまりないだろう」と理解されにくいのですが、嘔吐恐怖症の人は逆に嘔吐を怖がるあまり、常に嘔吐するのではないかという恐怖感を持ちながら生活しています。自分が嘔吐することはもちろん、周囲の人が嘔吐することについても強い恐怖心を持っている場合もあります。この嘔吐恐怖症も過去のトラウマが元で発症することの多い恐怖症です。嘔吐を伴う病気は辛いものが多いので子どものときに病気の辛さと嘔吐の辛さがリンクされてしまっている場合や、遠足のバスなどでみんなの前で嘔吐してしまったことがトラウマになっていることもあります。嘔吐を伴う病気の場合、実際には吐いてしまえば楽になるものも多いのですが、嘔吐恐怖症の場合には吐くのを我慢するあまり辛い症状が長引くこともあります。ひどい場合には食事のたびに嘔吐の恐怖と戦うことになり、しっかり食事が摂れなくなる場合もあります。また、女性の場合は妊娠してつわりの時期になると常に吐き気を戦うことになりますが、この時もつわりの気持ち悪さと同時に嘔吐の恐怖感と戦うことになるので、大変なストレスです。外食なども嘔吐の恐怖などで行けなくなるなど、日常生活にも支障をきたしてしまいます。楽しい場である食事の時間が、嘔吐恐怖症の人にとってはいつも辛い時間になっているのです。

恐怖症の治療や克服に関しては、少しずつその状況に慣れるというのが一般的ですが、嘔吐恐怖症の場合には少しずつ吐いて嘔吐に慣れていくというわけにはいきません。そのため徐々に「食べても吐かない」ことを体に刷り込ませて、食べることへの安心感を与えていくようにします。できれば専門医に相談して、その指導の下に嘔吐の恐怖を取り除いていくのがおすすめです。嘔吐はある程度投薬で抑えられるので、病院で投薬治療と精神的な治療を並行して行っていけば最も効率よく症状が改善されます。焦って無理に食べて嘔吐してしまうと逆にそれが辛い経験としてトラウマになってしまうので、無理は絶対に禁物です。

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